「ZERO」は日本で2番目に凄いボクシングマンガ

唐突に暴論ですが、
「ZERO」は日本で2番目に凄いボクシングマンガです!
1番とは言いません。「あしたのアレ」がありますから。アレは社会現象にまでなった名作ですし、大洋さんも「ZERO」を描くにあたって、一読して「ああ、もう全部出尽くしている。」と思ったそうです。
クロスカウンターのような「必殺技」。過酷な「減量」。対決の末起きてしまった「ライバルの死」。「スランプ」「ドサ周り」「パンチドランカーになってしまう事の恐怖」「パンチドランカーとなってしまったかつての対戦相手」「絶対的な世界チャンピオンとの対決」そして重要なキーワード「真っ白な灰になるまで燃え尽きる」…。

確かにここにはボクシングマンガの全部が出尽くしている。そこで大洋さんは設定を変えます。既に10年間防衛し続けている世界チャンピオンを主人公にするというスポーツマンガのヒットのセオリーには、全くない設定のマンガを描くことにします。それが「ZERO」です。
「ありえない」と思ったのは誰より担当の堀康樹さんだった事でしょう。ボクシングマンガを描くと聞いたときは、ボクシングならヒット間違いなしと思ったでしょうが、まさかベテランチャンピオンボクサーが主人公とは…。(その後も大洋さんは野球マンガといえば、草野球で生計を立てているおっさんのマンガだったり、卓球という(今でこそスターもいますが、)もっとも地味なスポーツでマンガだったり、担当の堀さん相当困った事でしょう。)
しかし、そのスポーツマンガのヒットの法則を無視したマンガだからこそ、この漫画は価値と魅力があるんです。しかもこのマンガ最後も勝っちゃうから、「真っ白な灰」にすらなれずに「うおー」という主人公の雄叫びとセコンドのおっちゃんの涙で終わる、なんとも浮かばれない強烈な幕の引き方。

ボクシングマンガを言えば他にも「がんばれアレ」とか「はじめのアレ」とか有名ですが、もう一度言います。「ZERO」は日本で2番目に凄いボクシングマンガです。

ZERO―The flower blooms on the ring………alone. (上) (Big spirits comics special)

ZERO―The flower blooms on the ring………alone. (上) (Big spirits comics special)

ZERO 下    BIG SPIRITS COMICS SPECIAL

ZERO 下  BIG SPIRITS COMICS SPECIAL