RCサクセション「シングルマン」の喜怒哀楽

シングルマン : RCサクセション

シングル・マン

シングル・マン


シングルマン」の喜 
1、「ファンからの贈り物」
アルバム冒頭曲。清志郎さんの当時のかわいいルックスもあって、圧倒的に女性ファンの比率の方が多かったみたいですが、その女性ファンから贈り物をくれと催促しておきながら、その贈り物を彼女にプレゼントするとか、つまらない物はごみ箱に捨てるとか無茶苦茶な歌詞。「お客様は神様」的ショービズ精神とは全く真逆。若さゆえの残酷なまでの痛快さと無邪気さ。


シングルマン」の怒
10、「甲州街道はもう秋なのさ」
歌詞を読む限り、何に対して、誰に対しての怒りなのかはわからないですが、サビの「うそばっかり」の連呼は痛いくらい怒りに満ちてます。「ファンからの贈り物」のようなコミックソングと、「甲州街道はもう秋なのさ」のようなシリアスな曲とのバランスの良さが「シングルマン」の魅力だと思います。アコースティックトリオだったり当時の流行もあってフォークグループに括られていた当時のRCですが、清志郎さんは一貫してソウルミュージックをやってきたんだとこの曲を聴くと強く感じます。


シングルマン」の哀
7、「ヒッピーに捧ぐ」
ヒッピーとはRCのマネージャーだった人のニックネーム。メンバーよりちょっと年上だったみたいです。この人が突然病死してしまい、その死別の哀しみを唄っています。ライヴでは滅多にやらない(でもファンの人気は高い)曲ですが、86年のライヴアルバム「Tears Of Crown」に収録されました。


シングルマン」の楽
11、「スローバラード」
RCの代表曲の一つでもあり、日本のロックポップスを代表するソウルバラードの名曲。夜の車の中で彼女と毛布にくるまって寝ていたら、カーラジオからスローバラードが流れてくる。楽しそうな2人の絵が浮かびますが、この曲のキモは「悪い予感のかけらもないさ。」というサビの一節です。当時、全く売れていないどころか、業界から干されていた事を思えば、悪い予感だらけなはずなのに、「かけらもないさ。」と言い切れるところに清志郎さんのダンディズムを感じます。楽天的、楽観的とも言えますが。
共作者に「みかん」とありますが、一緒に車にいた彼女のニックネームでしょう。後日談で、この曲には実は続きの歌詞が元々あったそうで、車で寝てたらおまわりさんが来て注意されて、おまわりのバカヤローという内容の歌詞があったらしいのですが、みかんさんの「そのおまわりさんのくだりはいらないんじゃないの?」という一言に清志郎さんも納得して曲が出来上がったそうです。その一言だけを共作とするのもどうかと思いつつ、その一言があって名曲が出来上がったんだから、みかんさんお手柄です。

RC succession 1976.12.01 Slow Ballad

画像、音質とも劣悪ながら、干されていた時期によくこんな映像が残っていたもんです。清志郎さんはハモンド弾きながら歌っています。破廉ケンチさんはもういなくて、ギターは阿部昇さん、ドラムスは鈴木ウータンさんか?単独ライヴはしてないと思うので、陽水さんか矢沢永吉さんの前座だと思われます。