「barbara ann」がBB5のライヴ定番曲になった奇跡の軌跡。

時は1965年。「ペットサウンズ」のリリースが66年なので、名作が生まれるまさに前夜。ビートルズの「ラバーソウル」に触発されて、ブライアンの頭の中では「ペットサウンズ」の構想があるのは勿論、レコーディングもバリバリはじめていました。その最中に、レコード会社から、暮れのクリスマス商戦に合わせて新作を作れと、無茶な要望。(65年には既に「ビーチボーイズトゥディ!」「サマーデイズ&サマーナイツ」と2枚のアルバムをリリースしていました。)
「ペットサウンズ」はとてもじゃないけど年末商戦には間に合わない。レコード会社からは、新作が間に合わないならライヴアルバムを出せとも。
ライヴアルバムなら去年「ビーチボーイズコンサート」を出しているし、ツアーに出る事を辞めてレコーディングに専念していたブライアンにしたら全く不本意。そこでブライアンは思いつきます。
スタジオ内を架空のパーティ会場に見立てて、生演奏したものをライヴアルバムとして出すという妙案。

パーティ: ビーチ・ボーイズ

パーティ

パーティ

生まれたアルバムが「ビーチボーイズパーティ!」。(ビートルズから3曲、ボブディランから1曲等、各々唄いたい歌を自由に唄うカヴァーアルバムです。カラオケボックスか?)
「ラバーソウル」「ペットサウンズ」の時代を考えると、正直ブライアンにとって停滞、後退とも取れるアルバムですが、アコースティック主体のアンプラグドスタイルは時代を先取っていたとも言えなくもなく、今の時代にはこれはこれで肩の抜けた面白作品です。

その「パーティ!」のレコーディング中(疑似パーティ中。)に隣りのスタジオでレコーディング中だったBB5の弟分「ジャン&ディーン」のディーンがなんか楽しそうと思ったのか飛び入りで加わります。メンバーが尋ねた「何唄う?」にディーンが「じゃあバーバラアンでも。」と。(契約上の問題でクレジットにディーンの名前は載せられなかったみたいですが、メインヴォーカルはブライアンとディーンです。)非メンバーのディーンが唄いたがったという偶然で、ここに初めてBB5名義の「バーバラアン」がレコーディングされます。

その「パーティ!」と同じ月にリリースされたシングル「The little girls once knew」がヒットチャートで20位と(当時のBB5にしては、)大ゴケします。焦ったレコード会社は急遽ヒット中のアルバム「パーティ!」からシングルカットを決めます。他にシングル候補になるクオリティの曲が無かった為、ブライアンはじめメンバーに無断でシングルになったのが「バーバラアン」。これが2位のヒットを記録。以降BB5のライヴの定番曲、BB5の代表曲になります。

Beach Boys - Barbara Ann

The Regents - Barbara Ann(こっちがオリジナル。)

Beach Boys- The Little Girl I Once Knew(これがコケたシングル。コケたのは曲が弱いからではなくて、むしろ「ペットサウンズ」寄りの時代の先を行く曲だった事が分かります。)