えほん「かないくん」。

谷川俊太郎さく、松本大洋え、の絵本「かないくん」読みました。
かないくん (ほぼにちの絵本)
作者: 谷川俊太郎,松本大洋,糸井重里

かないくん (ほぼにちの絵本)

かないくん (ほぼにちの絵本)

同級生の「死」がテーマです。子供なら(大人でも)誰もが思う疑問「人は死んだらどこへ行くの?」。大洋さんの短編集「日本の兄弟」のなかでも死んだらどうなるのかを聞きまくる少年が登場します。谷川さんも80歳を超えていますが、死んだことは無いのだから答えは勿論書かれていません。
同級生のお葬式のお経に下を向いて笑いをこらえている子や、祖父の死に「泣いているのか、笑っているのか、わからなかった。」という「わたし」の感情とか、ドラマチックな「死」ではなく、残酷なくらいあっけない「死」にリアリティがある事を読んで思いました。思うに「かないくん」の赤いマフラーは、「生」の象徴、血のイメージなんじゃないでしょうか。

井上陽水さんの「最後のニュース」という曲の一節を思い出しました。
「忘れられぬ人が 銃で撃たれ倒れ みんな泣いた後に 誰を忘れ去ったの。」
Blue Selection: 井上陽水

Blue Selection

Blue Selection

大洋さんが2年がかりで描いたという挿絵は、全身全霊を傾けたであろう大作。谷川さんの文章と真っ向から対抗できる唯一の挿絵だと思います。もう圧巻です。木の机や椅子の木目や、ゲレンデの雪…。特に数ページにわたる文章のない絵のみのページ(これは谷川さんの要望だったんでしょうか?)は、この絵本に不思議な余韻を与えてます。調べたら、この絵本は本邦初となる「特殊6色印刷」という技術で原画に近い色を再現しているんだそうです。