時代に「もしも」は無いですが…。
僕がBB5の未完の大作「SMILE」の事を知ったのはいつだったかな?もう忘れている事が多い…。「スマイリースマイル」は「ペット・サウンズ」と確か一緒に買ったから、そのライナーで、「SMILE」というアルバムが完成間近という所で、ブライアンが精神的に崩壊して結局発売されず、「SMILE」に収録予定だった曲を集めて発売されたのが「スマイリースマイル」という事実は知っていました。なので僕は長い事「スマイリースマイル」は「SMILE」の7〜8割完成したものだと勘違いしていた様に思います。だって完成間近まで出来ていてジャケットも出来ていて、そのジャケには曲名まで書かれていて、アメリカでは発売日まで決まって宣伝までしていたのだから。
その知識のみで聴いた「スマイリースマイル」だったので、僕はブライアンと共作者のヴァンダイクパークスはとにかくひっくり返したおもちゃ箱のようにバラバラで統一感のない、良く言えばバラエティ豊かな作品を作りたかったんだなと判断してました。ずっと。
だって「英雄と悪漢」と「ワンダフル」「ベジタブル」「ウィンドチャイムズ」に統一したテーマがある訳がないとしか思えないし、加えて「グッドヴァイヴレ−ション」ですから、なおさらおもちゃ箱状態です。
数年後、BB5のドキュメント「An American Band」でブライアンが、ピアノのみで切々と唄う「サーフズアップ」を観た時の衝撃は忘れられません。この曲も「SMILE」に収録予定の曲だということは知識として知ってましたが、67年の映像が残っていた事で改めて、本当にこの頃に作られた曲だということがはっきりしたし、67年という時代を考えたら、相当時代の先を行ってるシンフォニーポップスの最高潮の曲と言っても言い過ぎじゃないと思います。
Beach boys (Brian Wilson) - Surf's Up
時代に「もしも」は無いとよく言いますが、この「サーフズアップ」が67年に世に出ていたらBB5の評価も、その後のロックポップス相関図もかなり違ったものになっていたんだろうなと思います。本当に誰からも文句なしにビートルズと横並びで語られる唯一のバンドになれたんだろうになと思います。この文句なしの大作がよりによってBB5低迷期の71年に、曲数が足りないからというしょうもない理由でアルバム収録されるというあまりに悲しい事態。(発表されただけ良かったとも取れますが…。)発表が67年と71年ではインパクトが違いすぎます。
その後の世の中のヒット曲、例えばツェッペリンの「天国への階段」やクイーンの「ボヘミアンラプソディ」なんかより、崇高で感情に訴えてくる名曲だと思います。
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