BB5に関わったヒール(悪役)

マリーウィルソン
あのウィルソン3兄弟の父親で、デビュー前からマネジメントを担当。バンドを常に監視し強権政治的に管理しようとしたため、特にミュージシャンとしての成長著しかったブライアンと衝突。マイケルのところのジャクソンパパにも共通しているのが、子供たちが後にトラウマになる程のスパルタ指導をしている点。ミュージシャンになれなかった自分の夢を、子供に託そうとする気持ちが強すぎるのでしょう。「ヘルプミーロンダ」のレコーディング時に、あれこれ口出しするマリーに、ブライアンが遂に切れてスタジオから父親を追い出す。ここからブライアンの黄金時代の始まり。

サンレイズ
BB5のマネージャーを解雇された父親マリーウィルソンが、BB5を潰すためにデビューさせたバンド。BB5の敵という意味ではヒール(悪役)ですが、強敵にはなれなかった哀れなヒールです。

ニックヴェネット
メジャーデビューしたBB5を担当した最初のプロデューサー。初シングル「サーフィンサファリ」はヒットさせたけど、ヴェネットの読みの無さはサーフィンブームはもう終わりだと、次のシングルに童謡「テンリトルインディアンズ」をリリースしたという点。始まったばかりのサーフィンブームに気付かず、あえなくクビに。彼も時代の波を読めなかった哀れなヒール。

ジャックライリー
元(自称)ジャーナリストで、70年、自身のラジオ番組にBB5を呼んだ事がきっかけで、BB5のマネージャーに。さらにプロデューサー、作詞、等にも関与の裾野をひろげて、挙句一曲リードヴォーカルまで担当する(「A day the life of a tree」)という傲慢さ。(しかも結構歌うまい。)彼の勝手な行動にたまりかねたブルースジョンストンはBB5を脱退。アルバム「オランダ」をオランダでレコーディングしようと言いだしたのもライリーで、スタジオ無し、住む家無しの見切り発車ぶり。レコーディング終了後もオランダに滞在し続けたために、さすがにBB5も怒り、クビに。

マハリシヨギ
インドの導師。かつてはビートルズやドノヴァンもインドに出向いて彼の説法を聞いた。67年BB5も彼と出会い、特にマイクが彼のTM(トレンセンデンタルメディテイション=超越瞑想法)の世界にずっぽりハマり込みます。その後マハリシは有名女優とのセクハラ疑惑等、スキャンダルでビートルズにも「インチキだ」と、そっぽを向かれたのに、BB5だけはマイクの強い要望で、ツアーにマハリシを動向させて「説法付きライヴ」というありえない企画を提案。(当然の事ですがそのツアーは一週間でキャンセル。赤字は50万ドル以上。)マイクが作詞家という立場上TM讃歌的な曲は低迷期(混迷期)のBB5には多いですが、「Meant for you」のような世紀の名曲が生まれたのが救いとしては救いでしょうか。

ユージンランディ
精神科医。ドラッグと過食が止まらないブライアンを心配した、妻マリリンが治療を依頼。治療の初期段階は効果を見せ、少しづつ復調しましたが、永い治療生活は間違った方向へと進み(ランディが意図的にしたのかは不明ですが、)ブライアンはランディ以外を信じられなくなり、遂にはバンドメンバー、兄弟、妻をも敵視するようなマインドコントロールを受ける事になります。バンドはランディからブライアンを引き離しますが、また症状が悪化するとランディに依頼したりを繰り返します。(その後マリリンとブライアンは離婚。)廃人状態のブライアンを音楽活動が出来るまで回復させた功績はあると思いますが、法外な治療費や、一連のマインドコントロールはヒールの匂いがプンプンします。最悪のエピソードが、BB5がシングル「ココモ」をレコーディングをする際、BB5はブライアンを誘い、ブライアンも乗り気だったのですが、ランディが自分の名前も共作者あるいは共同プロデューサーにクレジットしないとブライアンの参加を許さないと主張したことです。他にも立場を利用して以後のブライアンの作曲クレジットには自分の名前を列記させます。元は真面目な精神科医だったのだと思うんですが、お金に目が眩んで自身もおかしくなってしまったのでしょう。(ブライアンの生活に干渉しないように、ようやく法的に禁止令が出たのが92年の暮れ。)

ティーヴラヴ
イクラヴの実弟で、ジャックライリーの解雇後、ツアーマネージャーについただけの男ですが、BB5に途中加入したメンバー、ブロンディチャップリンに対し黒人を差別する侮辱的な言葉を言ったため、ブロンディは怒りバンドを脱退。まだオバマもいない、キングオヴポップ、マイケルもまだまだ可愛いポップアイドルの時代、とは言え発言があまりに軽率。

チャールズマンソン
殺人犯なのでヒール(悪役)ではなくて本物の犯罪者です。元は交友関係の広かったデニスの友人の一人。アルバム「20/20」収録のデニス作の「Never learn not to love」の共作者として自分の名前をクレジットしろと、電話でデニスに言ってきます。デニスが拒否すると「殺してやる。」と脅迫。その後、女優シャロンテイト殺人容疑でマンソンは逮捕され事態は終焉しますが、タイミングが違えばシャロンの代わりにデニスが標的になっていたかもしれません。

ブルースジョンストン
BB5の重要なメンバーの一人で、曲提供、プロデュースとBB5への貢献は数知れず、何より絶対性格も温厚な優しい笑顔にヒールのイメージは皆無ですが、カールの死語、ずっとマイク率いるBB5にくっついてマイクのBB5の名前を汚す、意味不明なアルバム発売を容認しているのは正直いただけないです。

イクラ
BB5のオリジナルメンバーでウィルソン兄弟とは従兄弟で幼なじみ。しかも初期のリードヴォーカルはほとんどマイクが担当。ヒールな部分より先に功績を書くならば、ブライアンやカールのように内気な性格とは正反対の陽気なマイクのパフォーマンスは間違いなくBB5の大きな武器だったはずです。それに精神的にダウンしているブライアンに曲を作らせようと(ビジネスの為とは言え)擦り寄り、例えば「Do it again」のようなヒット曲を作らせるのも、マイクです。
まず「ビーチボーイズ」をいう看板を独り占めし、離れていったブライアンやアルにビーチボーイズを名乗らせないようにします。あと曲の作詞作曲の権利をめぐって醜い裁判闘争、90年代以降もBB5名義のアルバムを出していますが、半分ベストの企画盤や、カントリー界の大御所達にBB5を歌ってもらう企画盤(これのどこがBB5のアルバムなのでしょうか。)とか。意見は人それぞれでしょうが、BB5という看板に泥を塗っているようにしか僕には見えないです。
しかし、数年前のインタヴューで「今まで色んな作詞家と共作していますが、また共作したい相手はいますか?」との問いに「マイク。」と即答したブライアン。ゲイリーアッシャーでもヴァンダイクでもなく答えはマイクラヴなのです。喧嘩したり仲直りしたり、トムとジェリーみたいなものなのかな。腐れ縁なんでしょうね。