若気の至り、出来心。そしてどん臭い結末。

高校の三年間で僕は、バイト代等をやりくりして、ビリーのアルバムを買い集めていました。「ストームフロント」のワールドツアーで来日したり、CMソングに使われたりでビリーに興味を持ったのと、再発CDが安価でいっぺんにリリースされたのがそのきっかけだと思いますが、それにしても我ながらシブ好みな子供だ…。ほかにドンヘンリーのソロも集めてました。(超シブ好み!)
世間はチャゲアス、ドリカム、米米等のアリーナ級グループの全盛で、洋楽を聴くなんてクラスに1〜2人。それも当時は洋楽って言ったらメタル全盛で、まあ話しが合わない。唯一の共通項はクイーンとプログレくらい。
そんな僕のビリーコレクションも大分終わりに近づき、残ったアルバムが1st「コールドスプリングハーバー ピアノの詩人」。ですが、この1stに関しては有名な曲が一曲もないのです。
少ない小遣いで日々を過ごす、僕の心の中の悪魔が囁きに誘われて、CDを物色する風を装いながら
そっとCDをカバンに入れたのでした。

その瞬間、間髪いれず「ちょっといいかな。」…店員さんの声でした。相当挙動不審だったのでしょう。僕の万引きは未遂に終わりました。その店員さんは優しくて(勿論怒ってましたが。)親にも学校にも連絡しないでくれました。未遂に終わったCDは当然そこで買いました。ああ、カッコ悪い過去…、でも今にして思えば未遂で終わってよかったなと思います。悪い手癖が付かなくて本当によかった。
そして、なにより紆余曲折の果てに手にしたこのビリーのデビュー作が、なんとも青臭くて、優しい声で全アルバムの中で一番、僕の心をわし掴みにした作品でした。未だに色褪せない。
Billy Joel She's Got A Way

このYOU TUBEの音源、多分テープの回転が若干早い、ビリーが怒ったいわくつきのオリジナル盤の音源だと思います。