「火の鳥」黎明編と未来編

古い「火の鳥」の黎明編と未来編が実家にありました。多分亡くなった父親が買ったものだと思います。滅多にマンガを買わない父だったので珍しい事でした。僕が小五の時これを父の書斎から見つけて読みました。まだ子供だったので読み終わるのに半日がかり。今までに感じたことのない感動と興奮があって、何回も読み返しました。
特に黎明編は、まだこの世に生を受けて10年ちょっとの僕に「生と死」について深く考えさせられる作品でした。誰でもそうだと思うんですが、当時は子供だから「死ぬのは怖いな」「死にたくないな」「死後の世界ってあるのかな」と「死」という避けられない現実がとても不安でした。
主人公の少年ナギと邪馬台国の女王卑弥呼は、死なない体(永遠の若さ)が欲しくて、火の鳥の生き血を欲しがります。一方でスサノオ猿田彦、ニニギ等は永遠の命なんて欲しくない、意味のないものと切り捨てる。そしてラスト、生死をかけて絶壁を登る青年タケルが「もう無理だ」と「死」を覚悟した時、火の鳥がタケルの心に叫ぶ「生きるのよ!!」…。
読後の充実感がたまらなくって何回もとりつかれたように読んでました。ニッポン人として「火の鳥」黎明編は、絶対読むべきだし、読まずに人生終えたらニッポン人失格だと思います。
未来編も勿論読んでましたが、実際に永遠の命を手に入れてしまった死にたくても死ねない主人公が不気味で、あまりに果てしない時の流れに、終わりがない感じがしてちょっと苦手でした。
この2冊の火の鳥は今、僕の手元にあり、父親から(勝手に)もらった遺品です。
火の鳥」黎明編

火の鳥 1・黎明編

火の鳥 1・黎明編