松本大洋の短編

松本大洋の作品に中で一番は何かと、もし尋ねられたら、僕は、雑誌「COMIC QUE Vol.2」に載った短編作品を挙げたいです。(残念ながら書籍化されてません。)

漫画誌史上初のカバー特集だった今号で松本さんが取り上げた作品は、なんと「ドラえもん」。内容等は多く語りませんが、登場する青年ののび太は、「ピンポン」で周囲から心を閉ざすスマイルこと月本誠や、「ナンバーファイブ」で平和を愛するがゆえの行動や言動が、人間に理解してもらえず、苦悩するNO.王ことマイクフォードデイビスなど、その後の松本作品のキャラクターにつながります。

カバーというと、やり方によっては、パロディになったり、反対に単なるコピーになったりしてしまう可能性があります。今号でも、ちょっとそっちに行ってしまった感のある作品があります。だけど、この松本版「ドラえもん」はオマージュだったり、藤子F先生への深いリスペクトを感じるし、何より松本大洋にしか描けないオリジナリティがあります。

今号(COMIC QUE Vol.2)では、有名な漫画家や若くて才能のある漫画家がたくさんカバー作品を書いていますが、松本大洋さんが誰よりも圧倒的です。(あと、個人的には朝倉世界一さんの描いた「天才バカボン」も赤塚不二雄愛に溢れた、いい作品だと思います。)