隠れた名盤。

マイケルのソロアルバムといえば真っ先に語られるのは、クインシージョーンズプロデュースの三部作[Off The Wall][Thriller][BAD]の3作でしょう。それはセールス面、クオリティ面、それからマイケルのシンガーソングライター並びにパフォーマーとしての右肩上がりの成長の記録として、ポップス史上最も重要な3枚なのだから当然です。
だけどマイケルはモータウン在籍時にJ5の活動と並行してソロデビューしていた事、そして何枚かのアルバムを残したことも、忘れてもらっちゃ困るというものです。


Forever Michael

Forever Michael

アルバム「Forever Michael」(75)
マイケル並びにJ5の、モータウン在籍時の最後のアルバムです。タイトルを誰が付けたのかは判りませんが、「マイケルよ、永遠に。」なんてタイトルには、可愛かったあのマイケルは、声変わりしたからもう終わり、という悪意がある様に思います。確かにセールス的には失敗だった様ですが…。このあとのマイケルの快進撃を当時誰も想像できなかったのでしょう。

可愛いヒヨコと、ニワトリの中間、オタマジャクシとカエルの中間、イモムシとチョウチョの間のサナギ、…のようないびつさ。「Forever Michael」はそんなアルバムです。
当時17歳のマイケルの、J5の可愛さと、[Off The Wall]以降の洗練さに挟まれた、いびつな試行錯誤がこの作品には確かにあります。
でも意外なほど、不思議なほど完成度が高いんです。だからやっぱりマイケルは努力の人なんです。冒頭曲の[We’er Almost There]のイントロの壮大さ。マイケルのヴォーカルもこの時期にしかない、ハスキーヴォイスをうまく使って、この時期の声質を楽しんでいるよう。

マイケルの数々のモンスターアルバム群に隠れてしまった、隠れた名盤。僕の愛聴盤です。