「ナイロンカーテン」の喜怒哀楽

「ナイロン・カーテン」: ビリー・ジョエル

ナイロン・カーテン

ナイロン・カーテン

アルバム「ナイロンカーテン」が好きです。ビリージョエル唯一のコンセプトアルバムで、大国であり母国であるアメリカの持つ光と闇が描かれています。(そういったテーマとは関係ない曲も数局ありますが、コンセプトアルバムの元祖とされるビートルズの「サージェントペパーズ」も架空のバンド名を名乗って、頭とお尻をバンドのテーマ曲にした程度のコンセプトなので、そのくらいの程度でも充分コンセプトアルバムを名乗っていいっていう認識なのでしょう。)
「ナイロンカーテン」以前のアルバム3作(「ストレンジャー」「52ndストリート」「グラスハウス」)は全てグラミー賞を受賞していて、つまり「ナイロンカーテン」はグラミーを逃した作品ですが、ビリー自身グラミーを狙う作品より、こういうのが作りたかったんだと思います。


「ナイロンカーテン」の喜
1「アレンタウン」
アルバム冒頭曲。アレンタウンとは戦後のアメリカにたくさん作られた工場を中心に発展した街の事で、街の経済はその工場で成り立っていて、この街に頑張って暮らしていくんだという希望に満ちた歌。
Billy Joel - Allentown



「ナイロンカーテン」の怒
4「グッドナイトサイゴン
サイゴンベトナムの都市。ベトナム戦争の末端の米軍兵士たちとビリーは同年代なので、唄わずにはいられなかったのでしょう。ビリー自身「戦争は反対だが、彼らの立場を代弁する者は今までいなかった。」とこの歌を作ったきっかけを語っています。




「ナイロンカーテン」の楽
6「ふたりだけのルーム」
内容はタイトルと正反対に自分だけの部屋があった方が上手くいく、自分だけの部屋が必要と唄われています。




「ナイロンカーテン」の哀
9、「オーケストラは何処へ?」
アルバム最終曲。冒頭曲「アレンタウン」のアンサーソングになっています。工場が衰退してそれによって街がさびれて人がすっかりいなくなったゴーストタウンを、突然いなくなったオーケストラに例えて唄っています。

Billy Joel - Where's The Orchestra?
(この曲のライヴ動画がまさかあるとは!しかもどっかの学校の体育館みたいなステージ!)