粋なノベルティソング

まずノベルティソング(コミックソング)の定義や歴史はウィキペディアに任せるとして、「粋なノベルティソング」という僕の勝手なルールブックに載る歌をいくつか取り上げたいと思います。(要は僕の琴線に触れる歌というだけです。)
そもそもロックンロールとかロカビリーの出発点はノベルティだったんじゃないかと僕は思います。例えばチャックベリーの片足でピョンピョン跳ねながらのギターパフォーマンスとか、今でこそかっこ良く写りますが、当時はウケを狙っていた所もあったんじゃないかなと。(後、「Rock Around Clock」のビルヘイリーの横山ノックばりの髪型も、当時はあれがかっこよかったなんて事は、まさかないと思うんですが、)
そのロカビリー誕生の前後に活動していたコースターズという黒人コーラスグループがいます。僕は彼らに「粋」を感じます。楽しい陽気なコミックソングなのに、彼らのバックグラウンドにある黒人社会に対する差別や、貧困や、ハングリー精神を(このグループの事よく知りもしないくせに、)感じてしまうんです。
The Coasters - Along Came Jones

当時の彼らの映像を見ると、歌に限らず芸能の世界はお客様にウケる(受け入れられる)事こそが、その道でご飯を食べていける事なんだと改めて気づかされます。

今は、サブカルチャーが、メインカルチャーを追い越してしまったりが当たり前の、ある意味サブもメインもない時代なので、メインに対するカウンターパンチが打てない時代ですが、そういった意味ではロンドンパンクのカリスマ、シドヴィシャスの「My Way」は当時星の数ほどいたスター達に浴びせた「粋な」ノベルティパンチだったんじゃないでしょうか。
Sid Vicious - My Way

ここで一旦、邦楽に目を向けて、ベストオブ「粋な」ノベルティソング邦楽部門は…、フォークルの「帰ってきたヨッパライ」!!当時の言い方だとサブカルじゃなくてアングラなんでしょうが、深夜のラジオ番組で火がついて、気づけばオリコン初のミリオンシングルに!痛快!!
フォーククルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」

80s以降の邦楽に目を向けるとナゴム系のバンドがノベソン枠で活躍。電気グルーヴの前身の人生とか、有頂天とか(詳しくはウィキペディアにお任せで。)僕は詳しいわけでもはまったわけでもない、ちょっと下の世代ですが、筋肉少女帯の「元祖高木ブー伝説」とか、たまの「さよなら人類」とかいった有名な曲を聴くと、「どんなに頑張ってみても、日本人じゃ欧米のロックスターみたいになれない。」という一種のあきらめと、その反動(開き直り)みたいなものを感じます。
そして、90sの邦楽シーンに小さく一石を投じたの一発屋が、王様。
昔、くるりの岸田さんがラジオで(ちょっと曖昧な記憶なのでニュアンスは違うかもしれないですが、)「王様の、洋楽の直訳聴いて、ああ なんだ欧米のロックスターってしょうもない事歌ってたんだ、と気づかされた。」と言ってましたが、僕も同じように、はっとさせられました。
王様 Highway Star〜Speed King〜Burn〜Smoke on the Water

洋楽に戻ります。80sのノベソンの帝王はアルヤンコビックで決まりでしょう。MTVのミュージックビデオのパロディで一世を風靡。有名な所はマイケルの「Baet It」のパロディ「Eat It」、「Bad」のパロディ「Fat」。MTV全盛時代ならではのミュージックビデオありきのノベソンです。
"Weird Al" Yankovic - Eat It

90s代表は、スキャットマンジョン。この人こそ「粋」です。スキャット一筋に地味に活動していたおじいちゃんが、まさか人生の晩年に脚光を浴びる日が来るなんて。まさにノベソン界のきんさんぎんさんです。
Scatman John - Scatman (Ski-Ba-Bop-Ba-Dop-Bop

去年韓国のミュージシャンのPSYがリリースした「Gangnam Style」に「粋」を感じたのは僕だけでしょうか?ここ数年続く韓流ドラマブームやK-POPブームには全く興味がなく無関心な僕ですが、この曲にピピときたのはここまで書いてきたノベソンの偉人たちと同じ匂いを感じたからです。
いま勢いのあるK-POP界において、明らかにカウンター気味の異端児。僕は彼の登場にK-POPの成熟をみたように思います。(言いすぎか?)
PSY - GANGNAM STYLE (?????)